(あしあと その722・中央区の224・中島公園の9)
「豊平館」は、中島公園内にある札幌の歴史的建造物です。平成24年から4年間、大がかりな改修工事が行われてその姿を見ることはできませんでしたが、工事終了後に再びその優雅な外観を現しました。白い壁色と白群青の縁取りは、建設当時の配色を再現したものです。
建物の前には石碑が置かれており、碑面には、
「重要文化財 豊平館 昭和39年5月26日指定 文化財保護委員会
この建物は、明治14年8月開拓使が貴賓を迎える洋造ホテルとして大通西1丁目に建造したものである。明治14年天皇行幸の際行在所に、明治44年皇太子行啓、大正11年皇太子行啓の際御宿泊所に充てられた外、貴賓の宿泊も数多く、階上の広間では歴史的な催事もしばしば開催された。明治18年宮内省の所管に属したが明治43年札幌区へ貸下大正11年札幌市に下賜された。昭和8年史蹟名勝天然記念物法により史蹟「明治天皇行在所」に指定され、昭和15年札幌市が聖徳記念館を設置。昭和23年史跡指定解除となる。昭和33年現在地に移築、昭和36年札幌市文化財に指定。明治初期の代表的洋風(ルネッサンス式)木造建築物として国の重要文化財に指定された。
札幌市」
と刻まれています。
台座の背面には黒みかげの石板がはめ込まれており、そこには、
「昭和39年12月20日 建造
寄贈者 株式会社札幌市民会館食堂 株式会社まるい(〇の中に「井」)今井 有限会社豊影会 株式会社シーク」
と刻まれています。
豊平館は、昭和23年の史跡指定が解除された後、札幌公民館(のち札幌市民会館)として活用されましたが、会館を新築するにあたって保存か解体かの議論が起こり、昭和33年に現在地に移築保存して結婚式場として利用されることが決まりました。改修後は、イベントや会議室として利用されています。
最初に豊平館が建てられた西1丁目の敷地は、現在のわくわくホリデーホールとNHK札幌放送局('20年度中に北1西9に移転供用予定)から大通公園の西1丁目の北半分までを含む広さがありました。テレビ塔の北側にある元市民会館の前庭には、「豊平館跡」の石碑が残されています。
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