「札幌舗装道路発祥の地」碑。

(あしあと その185・中央区の103・北海道庁の4)

北海道庁正門から東に延びる北3条通。平成26年秋から、西4丁目の区間が多目的に活用できる北3条広場として整備され、歩行者専用に開放されました。この広場の西5丁目通に面して、「札幌舗装道路発祥の地」碑が建っています。

広場の整備に合わせて新設された現代的なデザインの碑には、上部の左側に当時の舗装の断面構造が再現され、玉石基礎の上にコンクリートが流し込まれて、敷きモルタルを薄く広げた上に木塊が敷き詰められていることがわかります。また、右側には「土木学会選奨土木遺産」のプレートと「建設当時の木塊舗装とイチョウ並木」と題された白黒写真、下部には日本語と英語の説明書きがそれぞれ配置されています。

左下の説明書きには、

「選奨土木遺産 道庁正門前木塊舗装・銀杏並木

大正時代には、北海道でも都市の近代化が進み、道内各地で道路の舗装が始まりました。この市道北3条線(当時の国道4号)では、大正13年(1924年)に道庁赤れんが庁舎正門前から札幌駅前通までの117.27mを、歩道と車道に区分して舗装を行いました。歩道はアスファルト、車道には木塊(木製レンガ)を施しています。(道路幅員27.27m=車道14.55m+歩道6.36m×2)

木塊は道南地方のブナ材から、長さ15㎝、幅9㎝、厚さ8.5㎝のものを採り、クレオソート油にコールタールを混ぜた防腐剤を注入しています。これは札幌で初めての道路舗装ですが、木塊が膨れ浮き上がってしまったため、昭和5年(1930年)にこの木塊舗装の上をアスファルト舗装でかぶせました。その後、木塊舗装の施行区間は、道路の補修や景観整備を行ってきましたが、大部分の木塊は保存されたまま車道として使われました。平成26年(2014年)に歩行空間として整備した北3条広場は、前年に広場内の幅10m、延長約80mの範囲に残る木塊を保全し、その上をレンガで舗装しています。

また、北3条広場にあるイチョウ(銀杏)並木は、大正14年(1925年)に、当時、樹齢19年のイチョウ32本が植栽されたものです。このイチョウは、荒川堤防用に育成されていた木を東京土木事務所から譲り受けたもので、道内で最も古い街路樹として、樹齢100年を超えた今も現存しています。

道庁赤れんが庁舎を背景としたイチョウ並木は、札幌を代表する道路景観として「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定され、市民を始め札幌を訪れる多くの観光客にも親しまれています。平成23年(2011年)には、この木塊舗装とイチョウ並木が、札幌で最初に整備された近代街路で当時の道路設計を今に伝える現存最古のものとして、土木学会により選奨土木遺産に認定されました。」

と記されています。

説明書きから視線を下に落とすと、当時の状況がわかるように木塊舗装が再現されており、手前の部分に木塊舗装の様子と、その奥に当時のまま保存された現物がガラス張りで見られるようになっています。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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