「北海道方面委員慰霊碑」。

(あしあと その129・中央区の74・円山公園の3)

裏参道から円山公園に入ったすぐ左手に坂下野球場のグラウンドがあり、その山側に向うと森の中に石造りの階段が見えてきます。これを上ったさらにその奥にひときわ白い大きな円柱状の碑が見えてきますが、これが「北海道方面委員慰霊碑」です。

円柱の高さは約6メートル、直径が約80センチもあり、碑面には、「北海道庁長官池田清書」の文字とともに、大きく「北海道方面委員慰霊碑」と刻まれています。池田清は、第22代の北海道庁長官を務めた人物です。

台座正面の黒い石額には

「北海偏陬(へんすう)ノ地ニ在リテ職ヲ方面委員ニ奉シ薄倖不遇ノ同胞ノ為メニ献身努力其誠ヲ致セシコト神人共ニ感動措カサルトコロナリ茲歳其制度勅令ノ公布ニヨリ盛業不朽ノ果ヲ結ヒシハ蓋シ偶然ニアラス在天ノ英霊亦以テ慰ムルニ足ランカ

昭和十一年十一月 林 市蔵撰弁書」

と刻まれています。林市蔵氏は当時の大阪府知事で、方面委員制度の創設に尽力した人物です。

また台座の背面には、同じく

「北海道方面委員慰霊碑

昭和十一年全道方面委員一、五〇〇人一人二円以上拠出八、二五〇円をもって建立

昭和十二年六月十二日除幕

昭和五十一年全道民生委員児童委員八、四四五人一人一、五〇〇円を六十周年記念事業として拠出改修する」

と刻まれています。

方面委員とは現在の民生委員のことで、昭和21年に廃止されて民生委員にその役割が引き継がれ、戦後からは児童委員を兼ねています。昭和11年11月に建立されたこの碑は、前月に行われた昭和天皇の御来道を記念して建てられました。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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