(あしあと その241・南区の65・小金湯の2)
国道230号を札幌市内から定山渓温泉に向かう手前で右に折れたところに、小金湯温泉があります。定山渓温泉とは違って温泉旅館が3軒ほどしかありませんが、昔から良泉として知られています。国道から下りて小金湯温泉の旅館まで来ると、ひときわ目を引くのが、樹齢700年といわれるカツラの巨樹です。このカツラの樹の根元からこんこんと温泉が湧き出していたのが小金湯温泉の発祥と言われています。
駐車場側から旅館の建物の方にカツラの樹を回り込んでみると、樹の根元にたくさんの観音像が立ち並んでいるのが見えてきます。これが「小金湯桂不動と三十三観音」です。
並んだ観音像は様々な姿かたちをしており、千手観音を思わせるものや赤子を抱いたものなど、見ていて飽きさせません。ほとんどの台座には個人名が彫られており、その背景には順不同ではありますが番号が振られているのがわかります。
観音像の一番右端には、少し離れてとても小さな石碑がありますが、その碑面に馬の顔が象られていることから、それが馬頭観音であることがわかります。
観音像の中央に建っているのが不動明王像です。実はこの像はかつてはカツラの樹の根元に空いたウロ(空洞)のなかに納められていたものですが、この温泉一帯が整備された時期にウロから出されて、観音像の背後に置かれたものと思われます。不動明王像が安置されていたウロは、写真のカツラの注連縄に飾られた、紙飾りである垂(しで)の間に見える暗くなった部分です。
観音像の間に説明板が建てられており、それには
「小金湯桂不動記念保護樹木
この木は、樹令700年と推定されるカツラです。
定山和尚が巡錫(じゅんしゃく)のみぎり、この老樹の根方に一夜の仮寝を結びましたが、その夢枕に現われた樹霊に衆生済度(しゅじょうさいど)の霊泉の湧源を示されたと伝えられております。明治26年中谷弥左衛門がこの地を所有するにおよび小金湯と名づけました。」
と記されています。
ここにある観音像は、以前小金湯温泉にあったホテルのオーナーが、放置されていた地蔵を集めて供養したものと言われています。
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