(あしあと その157・中央区の85・豊水の4)
旧豊水小学校の敷地にある「豊水の庭」の一隅に、レンガ造りの古い倉庫があります。これは、かつて豊水小学校の保護者会によって建てられた、「大典記念文庫」と名づけられた図書館です。
建物は二階建てで、入り口は厳重な鉄扉になっています。この建物は「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選ばれており、それを記念した説明板が建物の前に立っています。それには、
「豊水小学校 大典記念文庫 建築年 大正5年(1916年) 構 造 レンガ造2階建て
地域の人々が資金を出し合って建設し、学校図書館の先駆けとなった建物の一つである。この建物は書庫として建てられ、扉を二重にするなど保管のための配慮もなされた。大正天皇の即位を記念して「大典記念文庫」と名付けられ、地域にも開放されて多くの人々の思い出を刻んだ。戦争中より倉庫となり忘れ去られたが、書庫は昭和62年(1987年)に修復され、資料室、集会室として再び活用されている。」
と記されています。
また、建物の入り口の左側の壁面にも説明を記した石版が掲げられていて、それには建物の歴史が詳細に記されています。
「大典記念文庫
大典記念文庫は、時の豊水小学校保護者会が子弟のための図書館として大正五年から六年(一九一七年)にかけて建造しました。
当時、図書館のある学校は、札幌農学校(北大)など二、三校に過ぎませんでした。地域の人々の子弟教育にかける熱意がうかがえます。
「大典記念」とは、大正天皇の即位にちなんだものです。
第一期工事 レンガ造り二階建て 文庫建 坪六坪 建築費 三千円
第二期工事 木造 平屋建て 閲覧室 建坪 二十坪 建築費 四千円
七十年の風雪に耐えてきた木造の閲覧室は老朽化が激しく、昭和六十二年、そのつとめを終えましたが、レンガ造りの文庫は、昔の面影そのままに、ここ「豊水の庭」の一角にあって、本校の歴史をとどめる記念館として、私達の心を育ててくれます。
豊水二世紀の出発にあたり、文庫の保存 豊水の庭の造成についての学校、同窓会、奨学会、地域の切なる願いが、札幌市教育委員会の力によって、ここに実現されました。
昭和六十二年十月十三日 開館」
この建物は、修復された昭和62年当時は、1階が資料室、2階が和室の集会室として使われていましたが、都心の周辺4校が資生館小学校に統合された平成16年に、豊水小学校の閉校とともにその役目を終えました。
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