「頌徳碑」。

(あしあと その161・中央区の88・豊水の8)

成田山新栄寺の境内に並ぶ碑の中で、一番大きな威容を誇る「頌徳碑」です。

「頌徳」とは、徳を讃えることを意味します。この碑が誰の徳を讃えるために建てられたものなのかは、その碑銘に記されていて、大きな一枚岩の碑の正面には「奉詠讃佛歌大和流々祖山崎先生」と大きく刻まれています。「讃仏歌」とは、「御詠歌」ともいい、仏教の教えを五・七・五・七・七の和歌として、曲に乗せて唱えるものです。それは仏教の宗派の中の流派によって歌の流派も分かれており、大和流は真言宗の流派の一つです。碑銘に書かれた「山崎先生」は、大正九年に大和流を開いた流祖山崎千久松のことをいいます。碑面には、続けてこう記されています。

「先生名ハ千久松法(号)ヲ慈照院諦道徳善法師ト稱(称)シ明治拾八年三月香川縣(県)金蔵寺ニ生ル大正ノ初メ一千日修行ノ大悲願ヲ發(発)シ諸國(国)霊場巡拝ノ旅ニ出テ病弱能ク険峻ニ登リ或ハ山野ニ臥シ夢ニ佛陀ノ示現ヲ得大正十年各節ノ詠歌和讃ヲ創メ奉詠讃佛歌大和流ト稱(称)シ其ノ信仰團(団)體(体)タル大和講ヲ組織シタリ之レ詠歌和讃史上ニ新記元ヲ劃(画)シタル一大偉業ナリトス大正十五年七月三十日四十二歳ヲ以テ大往生ヲ遂ケラル現今各流ノ盛ナル其源悉ク先生ヨリ?ノ功績甚大ナリト言フベシ大正十四年真狩別藤川勝蔵民夫妻佛縁厚ク総本部講師佐野こめ女史ヲ聘シ當(当)流ヲ學(学)ヒ真言寺ニ支部ヲ設ケ總(総)本部ニ登山親シク先生ニ就キ薀奥ヲ究メ特派講師ニ補セラレ札幌市成田山新榮(栄)寺ヲ第一歩トシテ北海全道及樺太等東奔西走先生ノ遺風ヲ宣揚シ講員数萬ニ及フ明年先生ノ十三回忌ヲ迎フルニ當(当)リ茲ニ札幌教區(区)講員相計リ頌徳碑建立ヲ發(発)願シ予ニ囑(嘱)スルニ撰文ヲ以テス今所懐ノ一端ヲ述ベテ先生ノ遺徳ヲ傳(伝)フ

大和講々務長 大教導 遠藤本宣謹誌」

碑の背面には、上部に大きく「流祖辞世 よとともに かたりつたへよ やまとりう おしえおそわれ みほとけのみち 門人〇〇〇書」と刻まれ、その下には流派の支部名と門人の名前が連なっています。また、碑の側面には小さく「市内南十一西十一 石匠 山田〇〇」と刻まれています。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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