(あしあと その121・南区の35・定山渓の2)
定山渓の市街地に入ってから国道230号を中山峠方向に進むと、右手に定山渓万世閣ホテルミリオーネの建物が見えてきます。その建物の西側の小道を入った左手奥には、今は閉館している定山渓観光ホテル山渓苑の建物があり、小道の突き当りには歩行者用の階段が設置されていて、豊平川の断崖沿いに温泉街まで下りられるようになっています。その階段の降り口にあるのが、巨大な「北海道三景之碑」です。
「北海道三景之碑」の碑面には、上部に「定山渓」と浮彫りがされており、 その下に「北海道三景之碑 小樽新聞社」と大きく刻まれています。
碑の背面には、その由来が刻まれていますが、一部文字が風化して読み取るのが困難になっています。ただ、この碑文は他の三景之碑と同じ刻文となっているようで、その文章は
「多年北海道開拓ノ促進ト北日本文化ノ向上トニ對シ常ニ多大ノ貢獻ヲ爲セル小樽新聞ハ大正十二年五月八日ヲ以テ創刊滿三十年ニ達シ又同年十一月下旬ニ累號一萬ニ迄ヘルヲ以テ其
三景ノ投票ヲ汎ク江湖ニ募リタルニ投票開始以來七十餘日ニ亙リ應募總數約四百萬ノ多キニ及ヒ利尻富士定山溪洞爺湖ハ實ニ最高點ヲ以テ本道ノ三景ニ選ハレタリ小樽新聞社カ秀麗ナル自然ノ偉力ヲ以テ社會教化ニ資セントスル純ナル此企ハ此ノ如クニシテ汎ク江湖ニ理解セラレタルヲ幸トシ此計畫ノ精神ヲ永久ニ傳ヘ且ツ勝地ヲ中外ニ紹介シテ之レカ保存ヲ計ランタメ茲ニ北海道三景之碑ヲ建設スルニ至レルハ寔ニ始終ヲ全ウセル美擧ト謂ツ可シ仍テ一言之ヲ誌ス
大正十三年十月 北海道帝國大學總長 佐藤昌介 撰 髙田忠言 書 田中久太郎 刻」
と読み取れます。
この碑は、大正12年に当時の小樽新聞社が北海道三景の募集を企画し、数多く寄せられた中から定山渓、利尻富士、洞爺湖が選定されたことを記念し、大正13年6月に建立されました。
0コメント