「自作農記念碑」。

(あしあと その695・手稲の21・前田の3)

前田公園の北東に位置する前田中央会館の敷地の片隅に、巨大な石碑が建てられています。

隣接するコンビニ側に位置するこの石碑は、石積みの台座の上に上台が置かれ、さらにその上に自然石が載せられたものです。

碑面には大きく「自作農記念碑」と刻まれており、その脇に「北海道帝國大学總長高岡熊雄書」と添えられています。また、碑の右側面には「昭和十一年八月建設」と刻まれています。

台座の正面には、「昭和七年」から「昭和十年」までの期間に計51名の氏名が刻まれた石板がはめ込まれています。

台座の右側面には、「前田自作農創設五十年記念協賛 昭和五十九年十月」と題された黒御影石の石板に、「五十音順」に45名の氏名が刻まれたものがはめ込まれています。

さらに台座の左側面には、「前田開基百年記念 前田農事組合関係者分」と題され、上段から「前田居住年度」、「分家年度」、「出身地」と分類され、その下に「初代」から「五代」までの氏名が刻まれた黒御影石の石板がはめ込まれています。

ここに記された内容は、「明治二十七年」から「昭和四十九年」までにこの地区に居を構えた31名の系図が示されていて、その出身地は北陸から東北の各県を中心に、遠くは愛知県や徳島県から入植したことがうかがい知れます。開拓初期にこの地域に広がっていた前田農場主であった前田利為の出身が加賀藩があったことから、北陸地方からの入植者が中心となっていたものと思われます。

石碑の脇に立てられている説明板には、

「この碑は、昭和6年(1931年)から昭和10年(1935年)に、前田農場で働く小作の人たちが、土地を農場主から買い取り、51人全員が自作農となったことを記念して建てられたものです。

最初は新川中央橋近くにあった新川神社のそばに建てられましたが、昭和60年(1985年)8月30日に、現在地に移されました。」

と記されています。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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