「殉難者之碑」。

(あしあと その47・南区の6・藻岩下の5)

先日紹介した上山鼻神社を訪れた時、神社の鳥居と3つの石碑に並んで、敷地の奥に大きな石碑があります。碑の前面には、大きく「殉難者之碑」と書かれているのみで、碑の右側面には、「藤波収謹書」と小さく刻まれています。碑銘を揮毫した藤波収氏は、昭和26年に北海道配電と日本発送電北海道支店との事業を併せて北海道電力が創立された際に、初代会長を務めました。

碑の背面には、「昭和三十五年八月建立 北海道電力株式會社」と刻まれています。

この碑のすぐ近くには、藻岩山の中腹に造られた藻岩発電所があります。この発電所は、豊平川上流の簾舞付近にある藻岩ダムから約10㎞の導水路を使って取水していますが、この導水路を建設するにあたって多くの労働者が従事しました。その数は4千人以上とも言われ、タコ部屋と呼ばれる過酷な労働条件の下で人間以下の扱いを受け、90人近くの労働者が命を落としました。その中には朝鮮人労働者も多数含まれます。豊かな水量を誇る豊平川の恩恵を受け、彼らの犠牲の上に今日の生活を送ることができるということを、私たちは決して忘れてはなりません。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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