「馬頭観世音」碑。

(あしあと その245・南区の69・藤野の4)

札幌市街から国道230号を南に向かうと、藤野の市街を抜けたところで上り坂になります。その坂の手前で右折して豊平川に沿って進むと、左手の小高い丘の上に札幌藤野神社があります。神社の境内には徒歩でしか入れないので、市道の右側にある駐車帯に車を止め、歩いて道路を渡ったところに取り付けられた石段を登りきると鳥居が建っています。

小高い丘の上に切り開かれた境内の奥に小さな社殿があり、その右横に大きな石碑が建っているのがわかります。これが「馬頭観世音」碑です。札幌軟石を積み上げた台座の上に、これも札幌軟石でできた大きな碑が置かれ、その碑面には「馬頭觀世音」と、さらにその左脇には小さく「昭和三年十月十七日建之」と刻まれています。台座の正面には大きく「御大典記念」と彫られていることから、この碑が昭和天皇の即位を記念して建てられたものであることがわかります。

碑の台座の周囲には、

「寄附者 札幌市 (氏名) 盤之沢 (氏名)」

「發起者 簾舞青年野々澤支部 協賛者 野々澤部落一同 世話人(氏名) 寄附者(氏名)」

「簾舞イロハ順(氏名) 支部長(氏名) 寄附硬石(氏名) 仝(同)軟石(氏名) 石工(氏名)」

などと刻まれています。

野々澤(沢)は、この地域一帯が藤野と名付けられる前の地名で、藤の沢と野々沢という地名を合わせて藤野となりました。これと同様に盤之(の)沢も旧来の地名で、現在は豊滝の一部になります。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(西部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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